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胃カメラ

胃カメラとは

胃カメラとは、スコープを口・鼻から挿入し、のど(咽頭)、食道、胃、十二指腸(小腸)を観察する検査です。
胃カメラを行うことで、逆流性食道炎や胃炎などの炎症や、ポリープ・がんなどの病変を直接観察して、診断することができます。
また、その場での組織の採取(生検)、ポリープや早期がんの切除などが可能です。

近年は、ストレス社会の影響もあり、20代や30代でも胃潰瘍・十二指腸潰瘍や機能性ディスペプシアといった病気となるケースが増えてきています。
一方で、胃カメラのイメージで「オエっとする」・「苦しそう」・「怖い」といった印象を持たれている方が多く、「病気があるのでは?」と思っても、胃カメラをためらわれる方が、多く見受けられます。
これらの不安を少しでも解消するために、当院では、「安全で苦痛のない胃カメラ検査」の実現を追求しています。

胃カメラに関して、検査前日の注意点や検査費用などの細かい情報まで、消化器病専門医・内視鏡専門医・胃腸科専門医・上部消化管内視鏡スクリーニング認定医である院長が、分かりやすく、詳細に解説していきます。

 


目次

胃カメラの対象となる方

下記に記載されている

①現在、以下のような症状がある方、
②食道がん、
③胃がんのリスクがある方

の項目に該当するものがある場合、胃カメラ検査の対象となります。

1現在、以下の症状がある方

  • 食べ過ぎた後に、胸焼けや口の中がすっぱく感じる
  • 食べ物を飲みこむ際に、つかえる感じがある
  • カゼを引いていないのに、咳(せき)が出る
  • 日常で強いストレスがあり、胃痛腹痛が続いている
  • 食後すぐに、もたれ感やお腹の張りがある
  • 最近、吐き気を感じたり、げっぷがよく出る
  • 黒い便が出る
このような症状やエピソードを認める場合、食道や胃になにか病気が隠れている可能性があります。

少し様子をみて症状が改善したり、市販薬を内服して症状が改善した場合でも、炎症や腫瘍・がんなどが存在している可能性があり、注意が必要です。
少しでも気になったタイミングで、胃カメラを受けるようにしましょう。

2食道がんのリスクがある方

  • 飲酒(アルコール)の習慣がある
  • 喫煙(タバコ)の習慣がある
  • 熱いものをよく食べる
  • お酒を飲んで、すぐ顔が真っ赤になる
  • 肥満である
  • 以前にバレット食道、食道アカラシアと診断されたことがある
  • ご家族で食道がんと診断されている方がいる

3胃がんのリスクがある方

  • ピロリ菌感染を指摘され、除菌療法を行った
  • 萎縮性胃炎と診断されたことがある
  • 塩分の多い食事をよく食べる
  • タバコを吸う(喫煙)
  • ゴム製品の製造業をされている方
  • レントゲン(X線)、ガンマ線を扱っている方
  • アスベストを扱っている方
  • EBウイルスに感染した
  • 胃腺腫(胃ポリープの良性腫瘍)がある
  • ピロリ菌を健診などで指摘されたことがある
  • ご家族で胃がんと診断された方がいる

これらのエピソードを認める方は、食道がんや胃がんのリスクが高い方になります。
定期的な検査を行うことで、がんを早期発見・早期治療をを行いましょう。

胃カメラの検査時間

検査時間は5~7分です。
組織を採取(生検)したり、処置を行うと検査時間は10分程度になります。

当院の胃カメラ「7つの特徴」

当院の胃カメラには、7つの特徴があります。
すべての患者様が、「安心して苦痛のない胃カメラ検査」を受けられる環境の実現に取り組んでいます。

  1. 鎮静剤を使用し、安全で苦しくない検査を追求
  2. 内視鏡AI(人工知能)を搭載した胃カメラ
  3. 当日予約・当日胃カメラができます
  4. お仕事帰りの胃カメラ「イブニング胃カメラ」
  5. 経鼻内視鏡(鼻からのカメラ)を完備
  6. 年間  3,000件以上の内視鏡検査実績
  7. 胃・大腸カメラ両方の同日検査が可能  (おすすめ)

当院の胃カメラの特徴について、1つずつご説明します。

1.鎮静剤を使用し、安全で苦しくない検査を追求

胃カメラは「オエっとする」、「ゲーゲーとげっぷが出る」、「苦しそう」といった印象を持たれていたり、実際にそういった経験をされたことがある方が多くいらっしゃると思います。

当院では、基本的には全例で鎮静剤を使用し、しっかりと眠った状態を確認してから内視鏡検査を行っております。
検査前に点滴の鎮静剤(静脈麻酔)を、患者様の年齢・体重・持病などを考慮して、投与する薬の種類や投与量を個々に調整しています。
また、検査中に万が一、起きてしまった場合でも、鎮静剤を適宜追加していくことで、痛みのない・苦しくない胃カメラを追求しています。
胃カメラが初めての方でも、安心して検査を受けていただくことができます。

2.内視鏡AI(人工知能)を搭載した胃カメラ

当クリニックでは、内視鏡にAI(人工知能)を搭載した胃カメラを使用しています。
また最新の内視鏡システムの導入により、大学病院レベルの高精細な画像・診断を可能としています。

AIが病変を瞬時にリアルタイムで検出することで、より確実に食道がんや胃がんを発見でき、早期がんの病変の検出を向上させます。
より高い精度でがんを検出して、早期治療が行えるように取り組んでいます。
※当院では全例、AI(人工知能)搭載した胃カメラで、検査を行っております。

3.当日予約・当日胃カメラができます

多くのクリニックでは、胃カメラ検査を行う前に一度外来へ受診して、問診・診察を行う日が必要となります。

当院では事前診察なしで、胃カメラ検査が初診日の当日に行えます。
即日胃カメラができますので、仕事でお忙しい方でも、お昼休み・すきま時間で検査を受けることができます。

また、アニサキス症で胃にアニサキスが刺さっている場合や、魚の骨・薬の殻(薬包)などを誤って飲んでしまった場合の摘出・除去対応を、当日行うことが可能です。

4.仕事帰りに行える「イブニング胃カメラ」

「午前中の胃カメラは、仕事があってなかなか難しい」、
「胃カメラはしたいが、仕事終わりにできないだろうか?」
そんな声にお応えすべく、当院では「夕方に行う胃カメラ」に対応しています。

胃カメラ当日の朝食は普段通りに食べていただき、ランチを控えていただくことで、仕事終わりのイブニング胃カメラを行うことが可能です。
胃カメラ後の検査説明を聞いていただき、18時頃には帰宅が可能です。

※「イブニング胃カメラ」をご希望の方は、17時〜の時間帯で、ご予約下さい。

※昼食時に、ジュースや飲むゼリー飲料の摂取は可能です。(十分に水を飲むようにして下さい。)

5.経鼻内視鏡(鼻からのカメラ)を完備

鼻からスコープを挿入して、胃カメラを行う経鼻内視鏡検査にも対応しています。
経鼻内視鏡検査の場合、鎮静剤を使用せずに内視鏡検査を実施できます。
検査の当日にお車・バイク、自転車の運転が可能になるというメリットがあります。

6.年間  3,000件以上の内視鏡検査実績

内視鏡専門医、消化器病専門医、胃腸科専門医、ピロリ菌感染症認定医、上部消化管内視鏡スクリーニング認定医を取得しており、胃カメラの挿入・診断・治療において、数多くの検査経験があります。
過去のさまざまな経験を生かして、質の高い・安全な内視鏡検査を実施しています。

過去5年間の内視鏡件数実績

  • 胃カメラ検査実績 10,281件
  • 大腸カメラ検査実績 6.041件

対象期間:2019年4月 〜 2023年3月

  胃カメラ 大腸カメラ 内視鏡手術
2019年 2121件 1283件 2666件
2020年 1790件 1003件 1525件
2021年 1981件 1123件 1541件
2022年 2187件 1304件 2752件
2023年 2202件 1328件 2788件

7.胃・大腸カメラ両方の同日検査が可能 (おすすめ)

胃カメラと大腸カメラを同日に受けることが可能です。
同日に検査が受けられるため、検査時間を短縮でき、患者様の身体への負担・金銭面での負担・時間的な負担を軽減できます。

日々忙しく働く方々や家事でなかなか時間を作れない方々に、安心して検査を受けて頂けるよう、気軽に効率よく検査を受けて頂けるように工夫しています。

胃カメラ検査の流れ

実際の検査の流れ
(検査前日・当日・検査後)

検査前日から検査後の流れと注意事項を説明していきます。

検査前日 前日の21時以降は絶食になります。
なるべく消化の良いものを食べるようにしましょう。

食事の詳細に関しては、下の検査前日の食事内容をご参照ください。

水、コーヒー、紅茶、緑茶などの摂取は可能です。

※胃カメラを午後に行う方・イブニング胃カメラの方は、前日の絶食は不要です。
当日朝 検査当日は朝食を控えてください。

検査の2時間前までであれば、お水・白湯を飲むことは可能です。

検査2時間前からは絶飲食です。

胃カメラ検査を午後に行う予定の方は、検査の6時間前から絶食です。
当日受診してから 検査の10分前までに来院してください。

御着替えの必要は基本的にはありません。

お腹を締め付けないような楽な服装でいらしてください。

ベルト・ガードル・コルセットは検査時に取り外してください。
(スーツなどが汚れる心配がある場合、着替えの用意があります。)
検査中 静脈麻酔である鎮静剤の点滴を行い、眠ったことを確認してから検査を開始します。

異常のない場合は、検査時間は3〜5分ほどです。
検査後 検査後は水分補給のために点滴を行い、安静にします。

個人差がありますが、検査後15~30分ほどで目が覚めます。

覚醒後、医師より結果説明の診察となります。
お会計 お会計を済ませたらお帰りいただけます。


内服薬や喘息・アレルギーのある方は、事前に申し出てください。

胃カメラ検査に関するご不明な点は、よくある質問 Q&Aをご確認下さい。

検査前日の食事内容について

検査前日の食べもので、具体的な食事内容は以下の通りです。

消化の良いもの
(おすすめする食べもの)
消化の悪いもの
(食べないほうがいいもの)
  • ご飯、おかゆ
  • 素うどん
  • 食パン
  • スープ
  • コーヒー、紅茶
  • 乳製品(牛乳、豆腐、チーズ)
  • 加熱した卵
  • 火の通った野菜
  • 柔らかく煮た大根やニンジン
  • じゃがいも、長芋
  • 脂身の少ない肉(鶏ささみ・むね肉、豚もも肉)
  • 加熱した白身魚(タイ、タラ、カレイ)
  • はんぺん
  • りんご、バナナ、桃
  • プリン、ゼリー など
  • 牛乳、乳製品
  • ジュース
  • アルコール
  • 揚げ物、天ぷら
  • 生野菜
  • ごぼう、キノコ、こんにゃく、
  • さつまいも
  • ベーコン、ハム、ソーセージ、バラ肉、鶏皮
  • サバ、ブリ、アジ、イワシ、うなぎ
  • イカ、タコ、カニ、エビ、貝類
  • ひじき、海藻類、豆類
  • スイカ、メロン、パイナップル、柿、梨 など

検査後の注意点

  • 自動車・バイク、自転車などの運転は控えてください。

鎮静剤の使用により、目が覚めたあとも少しボーっとします。
組織を採取(生検)された方は、出血しやすい状態であるため、検査当日は以下の点に注意して下さい。

  • アルコールやコーヒー、紅茶、炭酸飲料は飲むのを控えましょう。
  • 激辛料理・香辛料を使用した料理・酸味の強い料理は控えてください。
  • 腹圧のかかる運動や激しい運動は控えてください。

胃は血流の多い臓器であるため、これらの飲み物・食べ物の摂取や運動することで、出血する可能性があります。
また、胃痛の原因になることがありますので、当日は控えるようにして下さい。

検査後の食事

胃カメラ検査を行ったあとはのどに麻酔がかかっているため、1時間は食事や水分を控えてください。

その後は特に制限はありませんが、胃のなかは空っぽの状態であり、突然脂っこいものを食べてしまうと腹痛や下痢をきたす可能性があります。

そのため、まずは消化の良いうどんや刺激の少ないものから食べるようにしましょう。

経口と経鼻カメラの長所・短所

胃カメラ検査は、スコープを

  1. ①口から入れる経口内視鏡
    ②鼻から入れる経鼻内視鏡

の2種類があります。
それぞれのメリット・デメリットを以下にお示しします。

メリット・デメリット

私も鎮静剤を使用しないで、経鼻と経口の胃カメラをそれぞれ経験したことがあります。
圧倒的に、経鼻のほうが苦しくなかったです。(経鼻の痛みの程度としては、経口の1/10ほどのつらさでした。)

当クリニックで行う経口内視鏡検査は、基本的に全例で静脈麻酔による鎮静を行っております。
しっかりと眠った状態を確認してから検査を行うことで、経口内視鏡のデメリットを解消しつつ、質の高い診断・治療を安全に行える胃カメラを追求しています。

胃カメラで苦しくなる「2つの部位」と当院の対策

胃カメラを行ったときに「つらい」・「苦しい」と感じる部位が2つあります。

①のど(咽頭)〜 食道の入口
②胃(幽門)〜 十二指腸の入口

の2箇所です。

①のど(咽頭)〜食道の入口に関しては、
「咽頭反射(いんとうはんしゃ」という、オエッとなる反射が、起きやすい部分です。

また、検査中に「ゲーゲー」とげっぷが出てしまい、つらい・しんどいと感じた経験のある方が多いと思います。
これは②胃(幽門)〜十二指腸の入口を通って、胃の奥の十二指腸を見る際に、カメラで胃が伸ばされてしまうことで生じます。
大きなゲップだけでなく、ひどい場合には食道と胃の粘膜のつなぎ目が裂けて、出血してしまう場合もあります。

当院では、これを未然に防ぐために、最も細い胃カメラ(細口径のスコープ)を全例で使用して、物理的な刺激を最小限にしています。
また、食道を観察したあとに、無送気もしくは最小限の送気で十二指腸までスコープを到達させます。
十二指腸を観察した後に、胃の観察を行うようにすることで、ゲップが少なくなり、より安全で快適な観察を実現しています。

胃カメラの実際の動画・観察方法

実際に口から胃カメラを入れてどのように観察しているかを見ていきましょう。
当クリニックで行っている観察方法をご説明致します。


胃カメラの内視鏡画像・観察方法

実際に口から胃カメラを入れてどのように観察しているかを見ていきましょう。
当クリニックで行っている観察方法をご説明致します。
のど(咽頭)や食道は「NBI (狭帯域光観察)」という緑色の光で観察する方法でみていくことで、早期がんを発見しやすくなります。
そのため、挿入時にはのど(咽頭)・食道をNBIにて観察していきます。

のど(咽頭)の内視鏡画像
NBIで観察することで、早期の咽頭がんがないか確認していきます。

のど(咽頭)の内視鏡画像

食道の内視鏡画像
挿入時はNBIで観察して、早期食道がんがないかチェックします。

食道の内視鏡画像

胃・食道接合部の内視鏡画像
NBIで観察することで、バレット食道や食道がん(バレット腺がん)がわかりやすくなります。
(下の画像では、バレット食道がみられます。)

胃・食道接合部の内視鏡画

こちらも胃・食道接合部の内視鏡画像です。
通常光でも同様に観察し、逆流性食道炎の有無をチェックします。

胃・食道接合部の内視鏡画

十二指腸(球部)の内視鏡画像
十二指腸球部は、特に十二指腸潰瘍ができやすい部位になります。

十二指腸(球部)の内視鏡画像

十二指腸(下行脚)の内視鏡画像
胆汁や膵液の出口となる十二指腸乳頭(ファーター乳頭)を直接観察して、総胆管結石や胆管がん・膵がんなどを疑う所見がないか、チェックします。

十二指腸(下行脚)の内視鏡画像

胃の出口(幽門部・前提部)の内視鏡画像
10〜20歳代のピロリ菌感染で生じる「鳥肌胃炎」はこの部分に生じます。

胃の出口(幽門部・前提部)の内視鏡画像

胃の体中部〜体上部小弯の内視鏡画像
ピロリ菌感染による萎縮性胃炎はこの部分からはじまります。
また、この部位は胃潰瘍ができやすい部位でもあります。

胃の体中部〜体上部小弯の内視鏡画像

胃の穹窿部(きゅうりゅうぶ)の内視鏡画像
スコープの裏側に病変が隠れていることもあるので、スコープを回転させてしっかりと観察します。
また、食道裂孔ヘルニアの有無を評価します。

胃の穹窿部(きゅうりゅうぶ)の内視鏡画像

胃の体中部〜体上部大弯の内視鏡画像
表層性胃炎や胃ポリープ、胃潰瘍などがないか全体をみます。

胃の体中部〜体上部大弯の内視鏡画

胃の体下部〜体中部大弯(見下ろし)の内視鏡画像
体中部小弯に萎縮粘膜がないか確認するとともに、胃の全体をみます。

胃の体下部〜体中部大弯(見下ろし)の内視鏡画像

胃の体中部〜体上部大弯(見下ろし)の内視鏡画像
全体を見回して、改めて病変や病気が隠れていないか確認します。

胃の体中部〜体上部大弯(見下ろし)の内視鏡画像

食道の内視鏡画像
スコープを抜いてくる際には、通常光で観察していきます。

食道の内視鏡画像

このように観察していくことで、食道・胃の内部を少なくとも2回以上見るようにして、病変の見落としがないように工夫しています。

胃カメラでわかる病気

以下に胃カメラをすることでわかる病気の一覧をお示しします。
それぞれの病気をクリックしていただくことで、その病気の詳細な解説をご覧いただけます。

内視鏡診断をより正確にするための「3つの手法」

当院の内視鏡システムでは、高倍率・光学ズーム搭載の内視鏡を使用した検査を行っています。
胃カメラでの診断をより正確にするために、以下の3つの手法を取り入れています。

  1. ①血管や微細な表面構造を見やすくする狭帯域光観察(NBI)
  2. ②病変の凹凸を明確にし、粘膜の模様を判断するインジゴカルミン色素散布
  3. ③光学ズームを使用した病変の拡大観察

これらを用いて、精度の高い診断を行い、病変の確実な切除を実現しています。
また、ポリープやがんの早期発見・早期治療に努めています。

NBIを用いた拡大観察

病変の血管や表面の構造から、良性・悪性の判断が可能となります。
こちらの画像はズーム拡大して観察しており、血管の構造が均一で、配列が規則正しいことから、胃底腺ポリープと内視鏡で診断できます。

NBIを用いた拡大観察

インジゴカルミン色素の散布による病変の診断
インジゴカルミン色素を散布することで、病変の凹凸が明瞭になり、病変の見落としを防ぐことができます。
こちらは、早期胃がんの内視鏡画像です。
画像の中央に少し赤みのあるくぼみが見えます。

インジゴカルミン色素の散布による病変の診断

色素を散布することで、病変の範囲が明瞭となり実際の大きさを判断する際にも有効です。

インジゴカルミン色素の散布による病変の診断

胃カメラで行える処置・内視鏡手術

胃カメラで以下のような処置・手術を行うことができます。

  • 病気や病変からの組織の採取(生検)
  • アニサキスの摘出
  • 出血を伴った胃潰瘍などの止血
  • ポリープの切除
  • 魚骨や薬包などの異物除去

胃のポリープに関しては、大腸ポリープと異なり、悪性化することがほぼない点や、胃は血流が多く切除後の出血が問題となることから、原則は経過観察となります。
ただし、胃ポリープが大きくなり出血を起こすような場合や、良性腫瘍・がんを疑う場合、切除します。
腫瘍でないポリープでも、患者様のご要望によってポリープを切除することも可能です。
また、以下の場合にも胃カメラで摘出可能です。

  • 魚の骨がノドや食道に刺さった場合
  • 錠剤のケースであるPTP包装紙などを誤って飲み込んでしまった場合

薬包(PTP包装紙)の除去

薬包(PTP包装紙)の除去

内視鏡手術について

胃のポリープが悪性(がん)の場合でも、早期がんであれば内視鏡手術で根治が期待できます。
胃の粘膜には痛覚の神経がないため、切除の際に痛みは全くありませんのでご安心ください。
具体的なポリープ・早期がんの切除方法は以下の3つがあります。

ポリペクトミー

ポリペクトミー

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

胃カメラにかかる費用・料金

保険診療の場合、おおよそ以下の費用となります。
下記の金額は参考料金ですので、予めご了承ください。

検査内容 3割負担 1割負担
検査のみ 約4,500~5,500円 約1,500~2,000円
ピロリ菌検査あり 約6,500円 約2,200円
組織採取した場合 約9,000~11,000円 約3,000~4,000円
ポリープ切除した場合 約17,000円 約6000円

※料金はすべて税込価格です。
※上記の金額はあくまでも目安となるものです。処置内容により金額は異なります。

バリウム検査はもう不要!?バリウム検査をお勧めしない理由とは?

胃のバリウム検査は、これまで健診などで広く使われてきましたが、現在、その役割は胃カメラ(胃内視鏡検査)に取って代わろうとしています。
実際に、胃カメラ健診を行っている自治体も増えてきています。

バリウム検査がお勧めできない理由は5つあります。

バリウムの味

バリウム検査では、発泡剤と50mlのバリウムを検査前に必ず飲まなければなりません。
味はお世辞にも美味しいものとは言えず、気持ち悪くなり吐いてしまう方もいらっしゃいます。

ゲップによる再検査

バリウム検査中にゲップをしてしまうと、再度、発泡剤を飲まなければなりません。
そのため、検査に時間がかかる場合があります。

バリウムアレルギー

一番怖いのはバリウムに対してアレルギーがあった場合、アナフィラキシーを起こしてしまう可能性があることです。
バリウムのアレルギーは数千人に一人と、さほど多くないですが、命の危険に関わる状態となることもあるので、侮れません。

検査の診断精度

診断の精度に関しては、胃のなかを直接観察する胃カメラと比べるとどうしても劣ります。
また、早期の胃がん・食道がんなどが見逃されてしまうケースが多いのが実情です。

検査効率の悪さ

検査の効率が悪い点もデメリットです。
バリウムの検査が順調に終わり、健診結果を見てみると、「要精検」の判定であった場合、改めて胃カメラ検査を行わなければならなくなります。
はじめから胃カメラを行っていた場合、何か病気や病変が見つかった場合、その場で組織を取ることが出来るため、精密検査を含め一回の検査で終わることが可能なのです。

当クリニックでも、胃カメラによる胃がん検診(内視鏡検診)が可能ですので、お気軽にご相談ください。

こうした理由から、胃カメラ検査をはじめから行うことで、バリウムによるアレルギーの心配をせずに、時間的にも経済的にも負担を軽減することが出来るというメリットがあります。
また、バリウム検査ではわからないような潰瘍・炎症・ポリープ・腫瘍(がん)などの詳細な診断が可能です。
そのため、バリウム検査より胃カメラでの検査を推奨しています。

横浜市の胃がん検診では、胃のバリウム検査と同じ料金(3140円)で、胃カメラを受けることが可能です。
当クリニックでも、胃カメラによる胃がん検診(内視鏡検診)が可能ですので、お気軽にご相談ください。

胃カメラができない人とは?

以下の条件に該当する場合、胃カメラが検査できないことがあります。

  • 妊娠中の方
  • パニック障害、統合失調症、強迫障害などの持病があり、バイク・自動車で来院された場合

授乳中の方は、問題なく検査が行えます。
パニック障害、統合失調症、強迫障害などが持病である方で、バイクや自動車で来院された場合、鎮静剤(静脈麻酔)が使用できません。
この条件以外の方は、問題なく胃カメラを行うことができます。
ご高齢の方でも、年齢や体重に合わせて、鎮静剤の種類や量を調整して、慎重に投与することで、胃カメラを行うことが可能です。

胃カメラの検査頻度について

よく何年おきに胃カメラを検査をすればよいかと聞かれますが、結論から申し上げると、各個人で異なりますので一概には言えません。
また、検査間隔が空きすぎて問題となることはありますが、間隔が短くて問題になることはありません。

韓国のシステマティックレビューでは、40~79 歳を対象として、1〜3 年以内の胃内視鏡検診の受診で 20〜40%の死亡率減少効果を認めたと報告されています。
以下の条件を参考にしてみてください。

半年〜1年以内のフォローが必要
  • 食道がん・胃がんを内視鏡で切除した方
  • 食道がん・胃がんで今年に手術をした方
1年後のフォローが必要
  • 胃カメラで病気を診断された方
  • 食道がんや胃がんのリスクが高い方
  • ピロリ菌除菌をされた方
  • 萎縮性胃炎のある方
1,2年後のフォローが必要
  • ご家族で胃がんと診断された方がいる
2,3年後のフォローが必要
  • 胃カメラで異常がない方

また、検査間隔が空きすぎて問題となることはありますが、間隔が短くて問題になることはありません。 
当クリニックでは、必ず検査の後に患者様に合わせて、何年後に検査を受けるべきかを説明しております。

また、公式LINEアカウントにお友達登録頂いている方には、検査時期が近づいてきた際に、リマインドメールをお送りしておりますので、忘れることなく定期的に検査が行えるよう工夫しております。

内視鏡検査の予約について

当クリニックではWeb予約を行っております。
Web予約より、初診の方でもインターネットから直接、胃カメラの予約を取ることが可能です。
お気軽にご利用下さい。

即日の胃カメラ検査が可能です

当院では、「魚の骨が引っかかった」、「アニサキスが疑われる」といった緊急性のある方に対して、当日での胃カメラ検 査を行っております。
ご予約の際にはWEB予約の備考欄にご要件をご記載下さい。
予約が埋まってしまっている場合、お電話にて予約を賜ります。

胃カメラのよくある質問(FAQ)

胃カメラの検査を検討している方、検査前の方から、よくあるお問い合わせを列挙しました。
検査の際にご参考にして下さい。

具合が悪く、すぐに胃カメラでみてほしいのですが、当日に検査できますか?

可能です。WEB予約により当日の検査ができます。
ただし、食事を召し上がっていないことが条件になります。
混雑している場合は、多少お待ちいただくことはありますのでご了承ください。

魚骨・薬包(PTP包装紙)を飲み込んでしまい、すぐに取って欲しいです

胃カメラで除去することが可能です。
WEB予約で胃カメラの当日予約ができない場合、当クリニックのLINE公式アカウントよりチャット相談にてご連絡ください。

検査当日に牛乳を飲んでしまった、ヨーグルトやご飯を食べてしまった。

少量であれば、問題はありません。
大量に摂取してしまった場合や気になることがありましたら、当院の公式LINEアカウントよりチャット相談も可能ですので、お気軽にご利用下さい。

検査当日は常用薬を飲んでも大丈夫でしょうか?

基本的には、内服していただいて問題ありません。血液をサラサラにする薬を数種類、内服している場合、来院時にお申し付けください。

以前、胃カメラをしたが、鎮静剤が効かず、苦しくなり不十分な検査しかできなかった。

当院では、どなたにも安心して苦痛のない胃カメラを提供できるように、静脈麻酔を行って、しっかりと眠った状態を確認してから、検査を行っております。
これまで他院で痛くて中断してしまった方も、しっかりと眠った状態で安心して検査することが可能です。
以前に胃カメラでつらい経験をされた方も、お気軽にご相談下さい。

何歳から胃カメラを受けられますか?

当クリニックでは、基本的には20歳以上の方は検査が可能です。
また、中学生や高校生の未成年の方でも、保護者の方が同伴して頂き、検査の説明を受けて頂いた場合は検査していただくことが可能です。

妊娠中でも検査はできますか?

検査で腹圧がかかってしまうため、妊娠中の場合、胃カメラ検査はできません。
授乳中の場合は、問題なく検査できます。

まとめ

胃痛や胃もたれ、胸焼けといった症状は、誰しも1度は経験があると思います。
症状が一時的なものであれば問題ないですが、症状が持続する場合、日常生活に支障をきたすケースも多くあります。
また、胃がんや食道がんといった病気が潜んでいる可能性も考えられます。
症状で気になったタイミングが、検査を受けるタイミングです。
また、健康診断のバリウムで異常を指摘されたり、ピロリ菌を指摘された場合、必ず胃カメラでの精査を受けるようにしましょう。

胃カメラが怖くて心配な方も、鎮静剤を使用することで快適に安心して検査を行えます。
当院へお気軽にご相談ください。

参考文献:

日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡ハンドブック 改定第2版 日本メディカルセンター
消化器内視鏡関連ガイドライン2018 東京医学社
日本消化器内視鏡学会 上部消化管内視鏡検査(食道・胃・十二指腸内視鏡)と治療
https://www.jges.net/citizen/check-cure/no3-1
日本消化器がん検診学会 対策型検診のための胃内視鏡検診マニュアル 2015 年度版
http://jsgcs.or.jp/files/uploads/inaishikyokenshin_manual.pdf
日本消化器内視鏡学会 内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン(第2版)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee/62/9/62_1635/_pdf/-char/ja

院長 鈴木 謙一(Kenichi Suzuki)

この記事の執筆者

院長 鈴木 謙一

略歴・役職

  • 埼玉医科大学医学部 卒業
  • 昭和大学横浜市北部病院消化器センター 助教
  • 山梨赤十字病院 消化器内科 医長
  • 磯子中央病院 内科(消化器内科) 医長
  • 2024年 横浜ベイクォーター内科・消化器内視鏡クリニック 横浜駅院 開業

所属学会・資格

  • 日本消化器病学会認定 消化器病専門医
  • 日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医
  • 日本消化管学会認定 胃腸科専門医
  • 日本内科学会認定 認定内科医
  • 神奈川県横浜市指定 難病指定医
  • 日本ヘリコバクター学会認定 H.pylori(ピロリ菌)感染症認定医
  • 日本消化器内視鏡学会認定 上部消化管内視鏡スクリーニング認定医
  • 日本消化器内視鏡学会認定 大腸内視鏡スクリーニング認定医
  • 日本抗加齢(アンチエイジング)学会 会員
  • American Society for Gastrointestinal Endoscopy member
  • United European Gastroenrerology member